Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「あたし、這入って来てはいけなかったのでしょうか」

彼女は何もかも知っている癖に、ぎこちなく睨み合った二人の男の気拙さを救う為に、首をかしげ、花弁の様な唇を美しく歪めて声をかけた。

二人の男は答える術を知らぬ様に、長い間押し黙っていた。

岡田道彦は、当の倭文子に今の有様を見られてしまったと思うと、重ね重ねの恥辱に、遂に座にいたたまらず、プイと立上って、足音荒く部屋を横切って、反対の側の廊下へと歩いて行ったが、さい前倭文子が隠れていた次の間の襖の所で、あとに残った二人を振返ると、何ともいえぬ毒々しい調子で、

「畑柳未亡人、ではこれで永久にお別れです」

と変な言葉を残して、そのまま廊下の外へ姿を消してしまった。

畑柳未亡人とは一体誰のことなのだ。ここには柳倭文子と三谷青年の外には誰もいないではないか。だが、それを聞くとなぜか倭文子の顔色がサッと変った。

「マア、あの人、やっぱり知っていたのだわ」

彼女は溜息まじりに、三谷青年には聞き取れぬ程の低い声でつぶやいた。

「あなたは、ここで我々が話していたことをすっかりお聞きになりましたか」

三谷はやっと気を取直して、極まり悪く、美しい人の顔を仰ぎ見た。