Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
新聞記者は、西部劇のカウ・ボーイではないのだから、飛行機から、投げ繩で、風船の賊を捕えるなどという、芸当は出来ない。といって風船を射落す様なことをすれば、こちらが人殺しの罪人だ。
では、彼は雲の中で、一体何をして来たかというに……
飛行機が薄い雲を破って、上空に出ると、そこに、夢の様な広告風船がポッカリと浮んでいるのが見えた。昇るだけ昇り切って、風のまにまにゆるやかに、雲の海を漂っているのだ。
先ずカメラを向けるのが、新聞記者の習慣だ。空中でもそれに変りはない。あるいは遠景を、あるいは近景を、飛行機の位置を見はからっては、パチパチと、数枚の写真をとった。
新聞記者としては、これだけでも大手柄だが、写真を撮ってしまうと、今度は賊に向って、大声に呼びかけたものだ。
プロペラの音に消されて、先方に通じるかどうかも分らなかったけれど、兎も角も叫んで見た。
「オーイ、そうしていたところで、自然にガスがもれて、落るにきまっているぞオ。眠くはないのかア。腹はへらないのかア。そんな苦しい思いをするよりも、ナイフで気嚢を突き破って、おりろやあい」
というようなことを、切れ切れに、繰返し繰返し、叫びつづけた。