Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「茂ちゃん、母さまはね……」

倭文子は、いとし子を抱きしめて、泣きじゃくりながらささやいた。

「飛んでもないことをしてしまったのよ。茂ちゃん、お前はね、可哀相に、可哀相に、もうこれっきり、母さまとお別れなのよ。一人ぼっちで暮らさなければならないのよ」

「母さま、行っちゃいや。どこへいくの? エ、なぜ泣くの?」

六歳の少年には、事の次第がよく呑みこめぬのも無理ではない。

アア、この子とも永久のお別れだ。今にも、今にも、警察の人達が来たならば、この場から引立てられるにきまっている。そして、絞首台はのがれられぬ運命だ。でも、これっ切り、我子と別れてしまうなんて、そんなむごたらしいことが、本当に起るのだろうか。別れるのはいやだ。子供も、恋人も、何もかもあとに残して、一人ぼっちで死んで行くのは耐らない。

「斎藤のおじちゃん、どうしたの? 死んでしまったの?」

茂少年の無邪気な質問が、この小さなものにさえ、責められている様で、ゾッとする程恐ろしい。

「ねエ、どうしたの? 母さまが殺したの?」

倭文子はギョッとして、思わず我子の顔を見つめた。アア、何ということだ。このいたいけな少年が、空恐ろしい直覚で、もうそれを感づいていようとは。