Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
倭文子は、若しや死骸の身代りが、ばれはしないかと、ギョッとして、身をすくめたが、人夫達は深くも疑う様子はなく、棺はそのまま表へ担ぎ出された。
何が仕合せになるか、この人夫の声が、今にも泣き出そうとしていた茂少年を黙らせてしまった。彼は子供ながらも、その一言に、自分達の恐ろしい境遇を思い出したのか、死にもの狂いに、母の膝へしがみついて、身動きもしなかった。
暫く宙を漂って、やがて、ガタンと何かの上におろされた感じ、ジリジリと棺の底が揺れる音、葬儀車の中へ入れられたのだ。
ついで、エンジンの響。自動車の走る烈しい動揺。
倭文子は、ホッと安堵の溜息をついた。もう少し位物音を立てても大丈夫だ。葬儀車の中には、棺の外に人はいない。運転手席も、普通の車と違って、厚いガラスで隔てられている筈だ。
「茂ちゃん、苦しくはない? ね、いい子だから、もう少し我慢しているんですよ」
ソッとささやくと、少年は、母の腹の上を、無理に上の方へはい上って来た。暗くて見えはせぬけれど、せめて母の顔のそばにいたかったのだ。
やがて、狭い箱の中で、母と子が重なり合って、窮屈な頬ずりをしていた。