Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
警部はそれを拾って、井戸の外へ、投げ上げた。
その下は、読者も知っている通り、三谷青年が倭文子を隠す時に、投げ入れた二枚の蒲団だ。
「ちょっと、手伝って下さい。大変な蒲団だ」
井戸の底から恒川氏の声が響いて来る。
それを聞くと、明智の指図で隅にたたずんでいた二人の怪人物が、井戸の口へ近づき、警部が下からさし出す蒲団を、一枚ずつ、引上げた。
さて、蒲団の下に何があったか。
それが二人の人間の死骸であることは、さっきからのお芝居で、恒川氏にもよく分っていた。一人は小川正一に極っている。だが、もう一人は? あの醜い小人島は、小川の下手人は、一体全体何者であろう。彼はそれが一刻も早く確めたいのだ。
警部は、井戸一杯に斜めになった、梯子の下段に足をかけたまま、懐中電燈をさしつけて、底を覗いた。
「ワッ」
という叫び声。
さすがの警部も、びっくりしないではいられなかった。
「どうしたんです」
上の暗闇から明智の声、彼も井戸の中をのぞき込んでいるのだ。
「これだ。……」
警部は懐中電燈を、一層底に近づけて見せた。
死骸を見るのは、覚悟の前だ。しかし、こんな風な死骸だとは、誰しも想像しなかった。