Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
気味が悪いといって、不審がっていたのでございますよ」
お波は多弁である。
「からっぽだか、どうだか、では行って見ることにしよう」
明智は、恒川氏をうながして、お波と三人で、奥の間へ入って行った。
なる程、床の間の前に、白木の棺が三つ、きちんと行儀よく並んでいる。日頃あまり使用せぬ座敷なので、どことなくガランとして、陰気な感じだ。
「二つは、如何にも空っぽです。しかし右の端の一つだけは、中味がある」
明智は「中味」などと妙ないい方をして、右端の棺に近づき、そのふたを少しあけて見せた。
恒川氏と婆やがのぞいて見ると確に人間が、うずくまっている。ふたの隙間からさし込む電燈の光りが、その人物のなめし革の様にひからびた、土色の半面を、ボンヤリと照らしている。
「オヤ、本当に斎藤さんだ。マア、マア」
お波は訳の分らぬことをつぶやいて、なじみの深い仏様に合掌した。
「アア、分りました。この死骸も、やっぱり例の井戸の中に隠してあったのですね」
警部が、なじる様にいった。
「そうです。あの二枚のふとんの上にあったのです。あすこに、斎藤老人の死骸まであったのでは、お芝居があんまり複雑になりますから、順序よく種明かしをする為に、文代さんと小林君が、前以て、この死骸だけを運び出しておいたのですよ。