Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
それ程にしなくてもと、反対意見も出たけれど、遂に三谷の熱心な希望が容れられ、彼が倭文子の身替りを勤めることになった。
当夜、三谷は髭のない顔に念入の化粧を施し、鬘を冠り、倭文子の着物を着て、学生芝居以来久しぶりの女装をした。
彼はこの奇妙な冒険に勇み立ち、女装そのものにも、少からぬ興味を感じているらしく見えた。自ら提案した程あって、彼の女装は、本当の女としか思われぬ程、よく出来た。
「きっと茂ちゃんを連れて帰ります。安心して待ってて下さい」
彼は出発する時、そういって倭文子を慰めたが、その時、双方とも女の姿で、顔を見合わせたのが、暫くの別れになろうとは、誰が予知し得たろう。
女装の三谷が、山下で自動車を降りて、山内を通り抜け、図書館裏の暗闇にたどりついたのは、丁度約束の十二時少し前であった。
交番もそんなに遠くはなく、桜木町の住宅街もついそこに見えているのだけれど、その一角は妙に真暗で、まるで深い森の中へでも這入った様な気持だ。
刑事達は、どこに潜伏しているのか、流石商売柄、それと知っている三谷にも、気配さえ感じられぬ。
四方に気を配りながら、暫く暗の中に立っていると、カサコソと草を踏む音がして、ボンヤリと黒く見える、大小二つの影が近づいて来た。