Japanische Klassiker mit Furigana
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わせいつばきひめ
和製椿姫
大倉 燁子
Lesen Sie 和製椿姫 (わせいつばきひめ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.221 Zeichen · 19 Bildschirme
時には魂の戻ることもあるのですが――、彼女は自分を東山夫人とも、美耶子とも思っていないんです」
「と、仰しゃると?」
「あのひとは夢を見ているんです。自分をほんとの椿姫だと思い込んで――」
「椿姫ですって?」と私は呆れて彼の顔を見た。
青年は痛ましそうな表情をして、
「夢の世界にいることが、彼女にとっては最上の幸福なのですよ。和製椿姫などとうたわれた頃から、和製なんかと云われるのはいやだ、私はほんとの椿姫になりたいと云っていましたもの。それが病気になって、気が狂うと同時に、小説の中の人になってしまったらしいんですね、それはあのひとの長い間のあこがれだったんでしょう、その理想を実現しているいま、美耶子さんにとってこれ以上のいい生活はないんです。実に無上の幸福に浸っている、そこなんです、僕がもうしばらくお連れ戻しになることを裕予して下さいと申上げたのは――。また冷めたい現実の世界に引き戻すのは可哀想です。どこまでも夢を見させて、夢のまんまでこの世を終らせて上げたい」
と云って青年は眼を拭い、
「いまの東山さんはもう美耶子さんにあきてしまっているんです。ただ世間体をつくろう事にばかりに狂奔しているだけです。