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Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

「あした、何時にたつんだね。早いのか。」と老人は何がなしに二人の女の顔を見た。二人が此度のようにここの家へ来合せて、自分と一所に茶ぶ台を取囲んで食事をするような折は、何か特別の事でも起らないかぎり、まず無いと思わなくてはなるまい。老人は突然何の理由もなく、それは今夜が最後であるような気がした。この次二人がこの家に来合せるのは、自分が病気になって死ぬ時であろう。と云うような気がした。

常子は至極気軽な調子で、「午前十一時に東京駅で乗りかえるんですから、九時にここを出れば大丈夫でしょう。おばさんの方は。」

「わたしは新宿からだからね。時間なんぞ構わずに、常子さんと一所に出掛けましょう。」

「そうか。わしもそこの駅まで送って行きたいが、今日お墓参をするにも隣の人に留守番をして貰うような始末なんだからな。わしは行かないよ。帰ったら皆さんに宜しく言ってくれ。」

「ええ。かしこまりました。」

二人が入れ直す茶を飲んだ後、老人は二階に、二人の女達は下座敷に寝る仕度をした。

*   *

老人は燈を消して夜具の中に這入った。今日は昼過に墓参をしたり葬式に来てくれた町内の人達のところへも礼参に立寄ったりして、かなり疲れもしたので、眼をつぶればすぐに眠られるつもりであったが、なかなかそう思うようには行きそうもない。