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Japanische Klassiker mit Furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

二人とも女ですし、たいして世話もやけませんから、年寄達に預けて参りました。」

常子の子供は臼木には孫にあたるのであるが、まだ一度も顔を見る折がなかった。臼木は初めて聞くような心持で、

「そうか。二人とも女の児か。お土産に何か買って置けばよかったが、この時節じゃア何処へ行っても買うような物はありゃしない。常子。箪笥の中に何か赤いものでもないか。さがして見てくれ。」

「そんなにいろいろ戴いて行かなくってもよう御在ますよ。この頃の子供は戦争から馴れてしまいましたからね。わたし達の子供時分のように食るものも着るものも、あんまり欲しがりませんからね。」と言ったが、常子はそれでも女の子の着物に仕立て直せるような、華美な裏のついた羽織を取上げ、両方の袖まで裏返して見た。

時計が十時を打った。

従妹のお近は大島紬の小袖と黒繻子の帯を選み、常子は稍荒い縞の錦紗お召の二枚襲と紋附の羽織と帯とを貰うことにした。二人は座敷一ぱいに取広げた衣類をもとの箪笥にしまい、それから自分達の荷物を纏めた時には夜は早くも十二時近くであった。時々銕橋を渡る電車の響のかすかに聞えたのも、今は杜絶えて、空を走る風の音ばかりが耳につく。