Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
その話というのは山室が結婚の約束をしてくれるか、どうかという事なのである。しかし楽屋の部屋も、外の喫茶店も人目の多いことには変りがなく、改ってしんみりした話をするにはその場所が見つからなかった。帰道にでも二人つれ立って歩きでもしたらと思うのであるが、あいにく山室は大詰の幕にはほんの一寸舞台へ出るばかり。千代子が幕切まで居残って、それから部屋に戻り化粧をおとしたり、着物をきかえたりして、道づれの蝶子と外へ出る時には、山室の姿はもう見えない。
或日千代子は思切って、
「山室さん。あなた、帰りいそぐのね。家、遠いの。」
「鎌倉から通うんだもの。東京にゃ泊れるところがないんだよ。千代子さんとこ、泊れると助かるんだ。」
無論冗談だとは知りながら、千代子は家には両親をはじめ男の兄弟もいるので、即座には何とも返事ができなかった。
する中、蝶子が病気で休んだことがあった。千代子は帰りの道づれがないのを幸、今夜こそ山室を引止め一緒に駅まででもいいから歩きながら話をしようと思い定めた、ところがその時になると、蝶子の情夫が彼女の病気を見舞いに行くから一緒に行こうと言出したため、折角の機会も空しくなった。