Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜんぞうをおもう

善蔵を思う

太宰 治

Lesen Sie 善蔵を思う (ぜんぞうをおもう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.041 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども女は、私にむかって叮嚀にお辞儀をして、私の顔を斜に覗き込むようにしながら、ごめん下さいましい、とまた言った。あたしら、ここの畑の百姓でございますよ。こんど畑に家が建つのですのよ。薔薇を、な、これだけ植えて育てていたのですけんど、家が建つので可哀そうに、抜いて捨てなけれやならねえのよ。もったいないから、ここのお庭に、ちょっと植えさせて下さいましい。植えてから、六年になりますのよ。ほら、こんなに根株が太くなって、毎年、いい花が咲きますよ。なあに、そこの畑で毎日はたらいている百姓でございますもの、ちょいちょい来ては手入れして差し上げます。旦那さま、あたしらの畑にはダリヤでも、チュウリップでも、草花たくさんございます、こんどまた、お好きなものを持って来て植えてあげますよ。あたしらも、きらいなお家にはお願いしないだ。お家がいいから、好きだから、こうしてお願い申すのよ。薔薇をこれだけ、ちょっと植えさせて下さいましい、とやや声を低めて一生懸命である。私には、それが嘘であることがわかっていた。この辺の畑全部は、私の家の、おおやさんの持物なのである。私は、家を借りるとき、おおやさんから聞いて、ちゃんと知っていた。