Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もぐらとらくばん

土鼠と落盤

黒島 伝治

Lesen Sie 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.823 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなこってきくもんか、五六万両はゆうにあるだろう。」

「いや/\もっとある、十五六万両はあるだろう。」

彼等は、この鉱山から、一カ年にどれだけの銅が出て、経費はどれだけか、儲けはどうか、銅はどこへ売られているか、そんなこた全然知らなかった。それからは、全然目かくしされていた。彼等はたゞ、坑内へ這入っておとなしく、鉱石を掘り出せばいゝ、――それだけだ。採掘量が多くなるに従って、運搬夫も、女達も増員された。市三は、大人にまじって土と汗にまみれて、うしろの鉱車に追われながら、枕木を踏んばっていた。

坑夫は洞窟の周囲に、だにのように群がりついて作業をつゞけた。妊娠三カ月になる肩で息をしている女房や、ハッパをかけるとき、ほかの者よりも二分間もさきに逃げ出さないと逃げきれない脚の悪い老人が、皆と一緒に働いていた。そこにいる者は、脚の趾か、手の指か、或はどっかの筋肉か、骨か、切り取られていない者は殆どなかった。家にはよろけた親爺さんか、不具者になった息子か、眼が悪い幼児をかゝえていた。女達はよく流産をした。子供は生れても乳がなくなって死んで行くのが少くなかった。