Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
兄あての電報であった。兄の特別あつらえの書斎は土蔵の後ろに建てられた新しい二階建であった。お光は胸に異様な動悸を感じながら、ぎし/\音のする階段を昇って行くと、窓から射す日光が浅黄の蚊帳の糸に美しくもつれていた。静かであった。彼女は兄が眼をさましていてくれればいいと考えていた。兄は床の中で眼を開いていた。
「綾子かい」
「いいえ、わたし」
「お光かい」
「ええ」
「綾子かと思った。あいつ大河のことを話すと妙に女らしくなるからおかしい」
「電報が来ました」
彼はお光から電報を受取った。そしてむっくりお光が驚いたほど元気よく跳ね起きた。
「今から金沢へ行って来る。自由社の講演会が今日になったのだ!」
すると力の籠った足音がして、黒い艶々した量の豊かな髪を銀杏に結って、服綸更紗の前掛をしめて淡紅色のたすきを片方だけ外した綾子がはいって来た。すばらしい美しさであった。お光よりか少し背が高くすんなりと伸びて、充溢する光輝が彼女の全身を力強く活気立たせていた。
「はやく御飯をしまわなくちゃ、じゃまでしょうがない」と彼女が言った。
「今から金沢へ行くのですって」お光は兄が黙っているので言った。