Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちじょう

地上

島田 清次郎

Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほんとう?」

「僕がうそを言うものか。いつだって僕は手紙にそう書いているじゃないかね」

和歌子は深い溜息を漏らした。少女の熱情で瞳は輝いて来た。そして、平一郎の右手を両手でおさえて、じっと胸に当てて放さなかった。

「吹屋の丘へ行こうか。和歌子さん」

「ええ。ようござんすわ」

二人は嬉しかった。このまま別れてしまう気がしなかった。昼のうちに寝ているので眠くはなかった。橋を渡って、寂しい暗い街を小走りに、午前二時頃の、黒い幔幕をはった廓の一部を通り抜けて、二人は広漠とした夜の野原に出た。地平の一線をくぎりに野は一面に暗黒色に充たされ、空はやや薄い水色に曇っていた。虫の声が地に湧きたっていた。二人は手を握りあったまま路を歩いた。あまりに広大な夜の自然が恐怖を与えぬでもなかった。吹屋の丘の草原は夜露に湿れて坐りようがなかった。二人は佇んだまま、身に迫る夜気に堪えていた。

「はじめて僕達はここで遇ったのだね。和歌子さん」

「そう――わたしまだ平一郎さんのあの手紙を暗記していましてよ」

「僕だって覚えていらあ」

そう言って彼はそこに坐りこんだ。和歌子はそこにつくばった。