Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
これまで仕上げて来た独り子である。彼女はしまいには「頼む」とさえ言った。平一郎もわけなしに湧く嫌悪の情を克服して、仕方なしに毎日学校へ通った。毎朝彼は眼がさめるときまって、「ああ、今日も学校へ行かなくてはならないのかなあ」としみじみ生きていることに苦痛を感じた。十一月の下旬にはもうこの北国の街に水気の多い霰が一斉に降っていた。
どうした訳かその頃から平一郎は和歌子の姿を見ることが出来なくなった。学校へ行く朝の路上でのあの幸福な栄光に充ちた遭遇は彼から奪われてしまった。彼は深井に尋ねたが、深井も知らなかった。深井の家を訪ねてもみたが、かつて見出した垣根越しの隣家の庭に和歌子の姿を見ることはなかった。
「隠したのかな※(疑問符感嘆符、1-8-77) 己から奪ってしまう気なのかな※(疑問符感嘆符、1-8-77)」彼は和歌子の見えなくなった原因を平常の話から和歌子の家庭の主権者である継母の所為であると独断的に信じてしまった。どうかして和歌子の在処を知りたい。知らずに置くものかと思った。毎夜、霰の降る暗い寒い夜を彼は和歌子の家の周囲を彷徨った。しかし彼は不意に和歌子を発見する悦びのかわりに死んだような沈黙、さも邪魔者がいなくなった和らいだような歓声を家の中から彼は浴びせかけられて、独り憤激した。