Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
それはひとたびゆいてかえらぬ生命の炬火の美しさだった。ああ、何という悦び! 愛するものを獲たのではないか! 和歌子と深井を獲たのではないか! 彼は靴音高く家へ帰って来たのである。
家にはお光と冬子が待っていた。霽れた晩春の青空から穏やかな陽が二人に射していた。
「やっぱり平一郎さんでしたこと」こう冬子がついていた右手でそっと、さらさらした豊かな鬢の毛をかきあげて、緋縮緬の長襦袢に紫がかった襟をつけようとこつ/\針を運んでいるお光を見上げた。平和な静けさがお光と冬子の微笑によって破られた。
「只今!」と彼はカバンを投げ出し、洋服を着替えて、いつものように大急ぎで膳に向わずにいられなかった。冷めた豆腐汁も彼にはうまかった。彼は、横向きになっているやや浅黒い引き緊った冬子の顔と艶々した島田髷とを見ながら、髪を結いにいった帰りだなと考えながら、襟頸から肩の辺りへの柔軟な線の美しさに引きつけられ、こうした女が自分の姉のように親しくしていることを(それはいつも感じることだったが)誇らしく感じた。
「今日は遅かったじゃないかい」とお光は留針をしながら言った。
「今日は博物の寄り合いがあったのです」