Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

帰る時に安さんが出口まで送って来て、相談でもあるならいつでも来るが好いと云ってくれた。

表へ出ると、いつの間にか曇った空が晴れて、細い月が出ている。路は存外明るい、その代り大変寒い。袷を通して、襯衣を通して、蒲鉾形の月の光が肌まで浸み込んで来るようだ。両袖を胸の前へ合せて、その中へ鼻から下を突込んで肩をできるだけ聳やかして歩行き出した。身体はいじけているが腹の中はさっきよりだいぶん豊かになった。何の当分のうちだ。馴れればそう苦にする事はない。何しろ一万余人もかたまって、毎日毎日いっしょに働いて、いっしょに飯を食って、いっしょに寝ているんだから、自分だって七日も練習すれば、一人前に堕落する事はできるに違ない。――この時自分の頭の中には、堕落の二字がこの通りに出て来た。しかしただこの場合に都合のいい文字として湧いて出たまでで、堕落の内容を明かに代表していなかったから、別に恐ろしいとも思わなかった。それで、比較的元気づいて飯場へ帰って来た。五六間手前まで来ると、何だかわいわい云っている。外は淋しい月である。自分は家の騒ぎを聞いて、淋しい月を見上げて、しばらく立っていた。