Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かべのめのかい

壁の眼の怪

江見 水蔭

Lesen Sie 壁の眼の怪 (かべのめのかい) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.253 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

一

寛政五年六月中旬の事であった。羽州米沢の典薬勝成裕が、御隠居上杉鷹山侯(治憲)の内意を受けて、一行十五人、深山幽谷に薬草を採りに分け入るという、その時代としては珍らしい計画が立てられた。

その最終の目的地点は東北の秘境、本朝の桃源にも比べられている三面谷であった。

三面谷は越後の村上領では有るのだけれど、又米沢からの支配をも受けているので、内藤家からも飯米を与えるが、上杉家からも毎年二十俵を、雪が積って初めて道が出来るのを待って、人の背を以て送られていた。そういう関係で、三面村の現状を能く調査して来いという、秘密命令も有ったのだ。

「ぜひ御一行に御加え下されえ。いかようなる任務でも致しましょうで」

かく申込んだのは、この頃米沢に漫遊中の江戸の画師、狩野の流れは汲めども又別に一家を成そうと焦っている、立花直芳という若者であった。

「三面の仙境には、江戸にいる頃から憧憬れておりました。そこをぜひ画道修業の為に、視ておきとう御座りまする」

「それは御熱心な事で御座る。幸い当方に於いても、三面の奇景は申すに及ばず、異なりたる風俗なんど、絵に書き取りて、わが君初め、御隠居様にも御目に掛けたいと存じたる折柄。