Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へんなおと

変な音

夏目 漱石

Lesen Sie 変な音 (へんなおと) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.763 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

下

そうしてその後へはすぐ翌る日から新しい患者が入って、入口の柱に白く名前を書いた黒塗の札が懸易えられた。例のごしごし云う妙な音はとうとう見極わめる事ができないうちに病人は退院してしまったのである。そのうち自分も退院した。そうして、かの音に対する好奇の念はそれぎり消えてしまった。

下

三カ月ばかりして自分はまた同じ病院に入った。室は前のと番号が一つ違うだけで、つまりその西隣であった。壁一重隔てた昔の住居には誰がいるのだろうと思って注意して見ると、終日かたりと云う音もしない。空いていたのである。もう一つ先がすなわち例の異様の音の出た所であるが、ここには今誰がいるのだか分らなかった。自分はその後受けた身体の変化のあまり劇しいのと、その劇しさが頭に映って、この間からの過去の影に与えられた動揺が、絶えず現在に向って波紋を伝えるのとで、山葵おろしの事などはとんと思い出す暇もなかった。それよりはむしろ自分に近い運命を持った在院の患者の経過の方が気にかかった。看護婦に一等の病人は何人いるのかと聞くと、三人だけだと答えた。重いのかと聞くと重そうですと云う。それから一日二日して自分はその三人の病症を看護婦から確めた。