Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

と経理部の兵は訊ねた。「千箇でさあ」と上田は無造作に答えた。隅の方で、じろじろ眺めていた老人はこのとき急に言葉をさし挿んだ。

「千箇? そんな筈はない」

上田は不思議そうに老人を眺め、

「千箇でさあ、これまでいつもそうでしたよ」

「いいや、どうしても違う」

老人は立上って秤を持って来た。それから、百箇の環の目方を測ると、次に箱全体の環を秤にかけた。全体を百で割ると、七百箇であった。

森製作所では片山の送別会が行われた。すると、正三の知らぬ人々が事務室に現れ、いろんなものをどこかから整えてくるのであった。順一の加わっている、さまざまなグルウプ、それが互に物資の融通をし合っていることを正三は漸く気づくようになった。……その頃になると、高子と順一の長い間の葛藤は結局、曖昧になり、思いがけぬ方角へ解決されてゆくのであった。

疎開の意味で、高子には五日市町の方へ一軒、家を持たす、そして森家の台所は恰度、息子を学童疎開に出して一人きりになっている康子に委ねる、――そういうことが決定すると、高子も晴れがましく家に戻って来て、移転の荷拵えをした。だが、高子にもまして、この荷造に熱中したのは順一であった。