Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme
誰と誰とが結托していて、何処と何処が対立し、いかに統制をくぐり抜けてみんなそれぞれ遣繰をしているか。台所に姿を現した女たちは、みんな一筋繩ではゆかぬ相貌であったが、正三などの及びもつかぬ生活力と、虚偽を無邪気に振舞う本能をさずかっているらしかった。……「今のうちに飲んでおきましょうや」と、そのころ順一のところにはいろんな仲間が宴会の相談を持ちかけ、森家の台所は賑わった。そんなとき近所のおかみさん達もやって来て加勢するのであった。
正三は夢の中で、嵐が揉みくちゃにされて墜ちているのを感じた。つづいて、窓ガラスがドシン、ドシンと響いた。そのうちに、「煙が、煙が……」と何処かすぐ近くで叫んでいるのを耳にした。ふらふらする足どりで、二階の窓際へ寄ると、遙か西の方の空に黒煙が濛々と立騰っていた。服装をととのえ階下に行った時には、しかし、もう飛行機は過ぎてしまった後であった。……清二の心配そうな顔があった。「朝寝なんかしている際じゃないぞ」と彼は正三を叱りつけた。その朝、警報が出たことも正三はまるで知らなかったのだが、ラジオが一機、浜田(日本海側、島根県の港)へ赴いたと報じたかとおもうと、間もなくこれであった。