Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

わからない、僕にはわからない、僕にはわからないのだ。だが、僕のなかで一つの声がこう叫びまわる。

僕は堪えよ、堪えてゆくことばかりに堪えよ。僕を引裂くすべてのものに、身の毛のよ立つものに、死の叫びに堪えよ。それからもっともっと堪えてゆけよ、フラフラの病いに、飢えのうめきに、魔のごとく忍びよる霧に、涙をそそのかすすべての優しげな予感に、すべての還って来ない幻たちに……。僕は堪えよ、堪えてゆくことばかりに堪えよ、最後まで堪えよ、身と自らを引裂く錯乱に、骨身を突刺す寂寥に、まさに死のごとき消滅感にも……。それからもっともっと堪えてゆけよ、一つの瞬間のなかに閃く永遠のイメージにも、雲のかなたの美しき嘆きにも……。

お前の死は僕を震駭させた。病苦はあのとき家の棟をゆすぶった。お前の堪えていたものの巨きさが僕の胸を押潰した。

おんみたちの死は僕を戦慄させた。死狂う声と声とはふるさとの夜の河原に木霊しあった。

真夏ノ夜ノ

河原ノミズガ

血ニ染メラレテ ミチアフレ

声ノカギリヲ

チカラノアリッタケヲ

オ母サン オカアサン

断末魔ノカミツク声

ソノ声ガ

コチラノ堤ヲノボロウトシテ

ムコウノ岸ニ ニゲウセテユキ