Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
すこし休むつもりだった。だらしなく気力を喪失したみじめな自分を軽蔑して、ぼくにはでも反抗するだけの力もなかった。
「山川」
じっと屋上の白い石の平面をみつめて膝をかかえていたぼくに、どれくらいの時間がたったころだろうか、不意に、屋上への出口からのそんな山口の甲高い声が曲がってきた。無気力に目をあげたぼくのほうへ、彼は例の黒い丸首のセーターに、冷たく白い表情をのっけたまま、まっすぐに重たい靴の音をひびかせて歩いてきた。
その目を見たとたんに、ぼくは自分と共通の感情が、彼にものしかかっているのがわかった。やつも今日知らされた未来に、つまり来月一日から開始される新しい毎日に、きっとぼくと同じ嫌悪と恐怖をかんじているのだ。思いつめたような彼の目は真向からぼくをみつめ、貼りついたような頬の青白い翳りが、唇の赤さを際立たせてふだんよりも濃かった。
彼は膝をかかえたぼくの前で立ち止った。なにもいわず、ぼくには彼の指をかたく握りしめた右の手首だけが見えた。
「……みんなが、かえってくるんだってな」と、ぼくはいった。
「フン。同じことだよ」
「いや。同じことじゃないよ、きっと」