Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや。同じことだよ」

ぼくを見下ろすような姿勢のまま、山口はなぜか不遜な、傲岸な、まるで狂信者みたいな態度で、肩口ではねかえすようにそうくりかえした。

同感を予定していたぼくの言葉は、しぜん乱れ、ぼくはどぎまぎした。

「そうかな。ずいぶん違ってきちゃう、根本的に、なにかこう、ぼくらの毎日が混乱しちゃう気がするんだがな、ぼく。……」

「フン、ぼくは思わないね。結局、ぼくらはいままでどおりの病人さ。なにひとつ、変える必要はないんだ」

ぼくは、ぽかんと彼を見上げた。視線をぼくの右後方の空に固定させて、まるで屈辱にでも耐えているみたいに、唇を固く結び、彼の表情は化石していた。――ぼくには、何故彼がそんなにムキになっているのかよくわからなかった。だいいち、「なにも変わらない」というのだったら、彼はまず、なんの用でいまごろわざわざ屋上までやってきたのだ? いつもの食事までにはまだ二時間もある。やつは食事どき以外はぼくに会いに来たことのない男じゃないか。……色褪せた曇り日の光を背負い、頑固に肩をいからせ目を虚空に向けて突っ立っている彼の貧弱なからだを見上げ、急にぼくは少年航空兵募集の、あの戦時中のポスターを思い出した。