Japanische Klassiker mit Furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Lesen Sie 夜の靴 (よるのくつ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 213 Bildschirme
そういえば、参右衛門の怠けぶりもまたそうだ。彼が徹底した怠けものであるところが、何となくこの村に滑稽でゆとりのある、落ちついた風味を与えている。配給物の抽籤のとき彼はいつも一等を引きあてるが、どういうものか、それがまた人人の笑いを波立てる。
夜になると、炉端で清江が畑から切って来た砂糖黍の茎を叩いている。この寒国でも今年から砂糖黍を植え始め、自家製の砂糖を作るのだが、それも今夜が初めてで炉端もために賑やかだ。一尺ほどの長さに切った茎を大きな俎の上で叩き潰しては、大鍋の中へ投げ入れ投げ入れして、
「ほう、これや甘い。なるほど、これなら砂糖になるかもしれないや。」
太股をはじけ出した参右衛門は、糖黍の青茎を噛ってみてはふッふ、ふッふと笑っている。少し鍋が煮えて来ると、蓋を取ってみて、汁を一寸指につけては、
「ほう、甘い甘い。今にのう、ぼた餅につけて、うんと美味いの食べさせてやるぞ。」
と、私の子供らにいう。子供らは面白がって庖丁ですぽりすぽりと糖黍を切り落していく。参右衛門は杓子で攪き廻しているうち、鍋の汁は次第にとろりとした飴色の粘液に変って来る。
「ほう、これは美味い。