Japanische Klassiker mit Furigana
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むゆうびょうしゃのし
夢遊病者の死
江戸川 乱歩
Lesen Sie 夢遊病者の死 (むゆうびょうしゃのし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.121 Zeichen · 22 Bildschirme
彦太郎が勤め先の木綿問屋をしくじって、父親の所へ帰って来てからもう三ヶ月にもなった。旧藩主M伯爵邸の小使みたいなことを勤めてかつかつ其日を送っている、五十を越した父親の厄介になっているのは、彼にしても決して快いことではなかった。どうかして勤め口を見つけ様と、人にも頼み自分でも奔走しているのだけれど、折柄の不景気で、学歴もなく、手にこれという職があるでもない彼の様な男を、傭って呉れる店はなかった。尤も住み込みなればという口が一軒、あるにはあったのだけれど、それは彼の方から断った。というのは、彼にはどうしても再び住み込みの勤めが出来ない訳があったからである。
彦太郎には、幼い時分から寝惚ける癖があった。ハッキリした声で寝言を云って、側にいるものが寝言と知らずに返事をすると、それを受けて又喋る。そうしていつまででも問答を繰返すのだが、さて、朝になって目が覚めて見ると少しもそれを記憶していないのだ。余りいうことがハッキリしているので、気味が悪い様だと、近所の評判になっていた位である。それが、小学校を出て奉公をする様になった当時は、一時止んでいたのだけれど、どうしたものか二十歳を越してから又再発して、困ったことには、見る見る病勢が募って行くのであった。