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Japanische Klassiker mit Furigana

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たいせつなふんいき

大切な雰囲気

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 大切な雰囲気 (たいせつなふんいき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 690 Zeichen · 2 Bildschirme

Aozora Bunko

人と人とが長い人生の行路に於いて偶然に行き遭い、相接触し、互いに感化を及ぼし、やがて再び別れ別れになって行く因縁を思うと、奇妙な感じがしないでもない。

私は関東の震災のために関西へ来、大正十三年から阪神間の住人になった。小出君は元来大阪の人であったが、芦屋にアトリエを建てて移って来られたのは、大正十四年頃であった。そして最初は山口謙四郎氏邸の会で、次にはつるやの朝日新聞社の会で、一二度顔を合わすうちにいつか私は小出と云う人をはっきり印象させられたのであるが、今考えると、それは故人の有名なる話術に魅了された結果であった。忘れもしないが、故人は山口邸の時、弟の縁談を断りに行ってアベコベに纒めて帰って来た滑稽談を一席弁じた。つるやの時は、奈良の色きちがいのお婆さんの話をして、そのお婆さんの顔が「わらじの底のようだった」と云った。

斯くて両人の間には当然長く続いたであろう交際が始まったのであるが、それが僅々数年の後に、突然の故人の逝去に依って絶たれてしまった。故人は私からどのような影響を受けたか、恐らく何も受けなかったであろうが、反対に故人の芸術が私に及ぼした感化の跡は可なり大きい。