Japanische Klassiker mit Furigana
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おおとねのおおものつり
大利根の大物釣
石井 研堂
Lesen Sie 大利根の大物釣 (おおとねのおおものつり) von 石井 研堂 (いしいけんどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.600 Zeichen · 17 Bildschirme
』
漁『それは、珍らしい取組みだったね。三尺といっちゃ、聴いただけでも、ぞくぞくするね。其様な化物が出るから、此地で行りつけると、中川や新利根のは、鱸とは思われないのだね。』
斯ること相話しながら、神を二本の綸に注ぎ、来るか来るかと、待ちわびしが、僅に、当歳魚五六尾挙げしのみにて、終に一刻千金と当てにしたりし日も暮れぬ。
薄暗き小ランプを友として、夕飯を喫す。西天を彩れる夕映の名残も、全く消え果て、星の光は有りとは言へ、水面は、空闊にして、暗色四面を鎖し、いよいよ我が船の小なるを想うのみ。眼に入るものは、二三の漁火の星の如く、遠くちらつくと、稀に、銚子行汽船の過ぐるに当り、船燈長く波面に揺き、金蛇の隠現する如きを見るのみにして、樹林無く、屋舎無く、人語馬声無く、一刻一刻、人間界より遠ざかる。唯、蚊の襲来の多からざると、涼風衣袂に満ちて、日中の炎塵を忘るるとは、最も快適の至りにして、殊に、ここ暫くの勝負と思えば、神新に気更に張る。
されば、更るがわる鈎を挙げて、餌を更め、無心にして唯中りを待ちけるに、一時間許り経ける時、果して鈴に響く。直ちに、綸を指して試むれば、尚放れざるものの如く、むずむずと二つ三つ感じたり、即ちそと引きて合せたるに、正に手応えありて懸りたるを知る。