Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいどうじしんすけのはんせい
大導寺信輔の半生
Lesen Sie 大導寺信輔の半生 (だいどうじしんすけのはんせい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.611 Zeichen · 26 Bildschirme
彼はごみごみした往来に駄菓子を食って育った少年だった。田舎は――殊に水田の多い、本所の東に開いた田舎はこう言う育ちかたをした彼には少しも興味を与えなかった。それは自然の美しさよりも寧ろ自然の醜さを目のあたりに見せるばかりだった。けれども本所の町々はたとい自然には乏しかったにもせよ、花をつけた屋根の草や水たまりに映った春の雲に何かいじらしい美しさを示した。彼はそれ等の美しさの為にいつか自然を愛し出した。尤も自然の美しさに次第に彼の目を開かせたものは本所の町々には限らなかった。本も、――彼の小学時代に何度も熱心に読み返した蘆花の「自然と人生」やラボックの翻訳「自然美論」も勿論彼を啓発した。しかし彼の自然を見る目に最も影響を与えたのは確かに本所の町々だった。家々も樹木も往来も妙に見すぼらしい町々だった。
実際彼の自然を見る目に最も影響を与えたのは見すぼらしい本所の町々だった。彼は後年本州の国々へ時々短い旅行をした。が、荒あらしい木曾の自然は常に彼を不安にした。又優しい瀬戸内の自然も常に彼を退屈にした。彼はそれ等の自然よりも遥かに見すぼらしい自然を愛した。