Japanische Klassiker mit Furigana
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だいどうじしんすけのはんせい
大導寺信輔の半生
Lesen Sie 大導寺信輔の半生 (だいどうじしんすけのはんせい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.611 Zeichen · 26 Bildschirme
四 学校
こう言う小事件も彼の記憶に苦しいほどはっきりと残っている。思想は今後も彼の心に雑多の陰影を与えるかも知れない。しかし彼は何よりも先に退職官吏の息子だった。下層階級の貧困よりもより虚偽に甘んじなければならぬ中流下層階級の貧困の生んだ人間だった。
四 学校
学校も亦信輔には薄暗い記憶ばかり残している。彼は大学に在学中、ノオトもとらずに出席した二三の講義を除きさえすれば、どう言う学校の授業にも興味を感じたことは一度もなかった。が、中学から高等学校、高等学校から大学と幾つかの学校を通り抜けることは僅かに貧困を脱出するたった一つの救命袋だった。尤も信輔は中学時代にはこう言う事実を認めなかった。少くともはっきりとは認めなかった。しかし中学を卒業する頃から、貧困の脅威は曇天のように信輔の心を圧しはじめた。彼は大学や高等学校にいる時、何度も廃学を計画した。けれどもこの貧困の脅威はその度に薄暗い将来を示し、無造作に実行を不可能にした。彼は勿論学校を憎んだ。殊に拘束の多い中学を憎んだ。如何に門衛の喇叭の音は刻薄な響を伝えたであろう。如何に又グラウンドのポプラアは憂欝な色に茂っていたであろう。