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Japanische Klassiker mit Furigana

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あにきのようなこころもち

大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ

芥川 竜之介

Lesen Sie 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.007 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

と言った。それは「下」の字に力を入れた、頗る特色のある言いかただった。僕は某君には会ったことは勿論、某君の作品も読んだことはない。しかし島木さんにこう言われると、忽ち下司らしい気がし出した。

それから又島木さんは後ろ向きに坐ったまま、ワイシャツの裾をまくり上げ、医学博士の斎藤さんに神経痛の注射をして貰った。(島木さんは背広を着ていたからである。)二度目の注射は痛かったらしい。島木さんは腰へ手をやりながら、「斎藤君、大分こたえるぞ」などと常談のように声をかけたりした。この神経痛と思ったものが実は後に島木さんを殺した癌腫の痛みに外ならなかったのである。

二三箇月たった後、僕は土屋文明君から島木さんの訃を報じて貰った。それから又「改造」に載った斎藤さんの「赤彦終焉記」を読んだ。斎藤さんは島木さんの末期を大往生だったと言っている。しかし当時も病気だった僕には少からず愴然の感を与えた。この感銘の残っていたからであろう。僕は明けがたの夢の中に島木さんの葬式に参列し、大勢の人人と歌を作ったりした。「まなこつぶらに腰太き柿の村びと今はあらずも」――これだけは夢の覚めた後もはっきりと記憶に残っていた。