Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あにきのようなこころもち
大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
Lesen Sie 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.007 Zeichen · 56 Bildschirme
滝田哲太郎氏
滝田君はいつも肥っていた。のみならずいつも赤い顔をしていた。夏目先生の滝田君を金太郎と呼ばれたのも当らぬことはない。しかしあの目の細い所などは寧ろ菊慈童にそっくりだった。
僕は大学に在学中、滝田君に初対面の挨拶をしてから、ざっと十年ばかりの間可也親密につき合っていた。滝田君に鮭鮓の御馳走になり、烈しい胃痙攣を起したこともある。又雲坪を論じ合った後、蘭竹を一幅貰ったこともある。実際あらゆる編輯者中、僕の最も懇意にしたのは正に滝田君に違いなかった。しかし僕はどういう訳か、未だ嘗て滝田君とお茶屋へ行ったことは一度もなかった。滝田君は恐らくは僕などは話せぬ人間と思っていたのであろう。
滝田君は熱心な編輯者だった。殊に作家を煽動して小説や戯曲を書かせることには独特の妙を具えていた。僕なども始終滝田君に僕の作品を褒められたり、或は又苦心の余になった先輩の作品を見せられたり、いろいろ鞭撻を受けた為にいつの間にかざっと百ばかりの短篇小説を書いてしまった。これは僕の滝田君に何よりも感謝したいと思うことである。
僕は又中央公論社から原稿料を前借する為に時々滝田君を煩わした。