Japanische Klassiker mit Furigana
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あにきのようなこころもち
大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
Lesen Sie 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.007 Zeichen · 56 Bildschirme
恒藤の描きし水彩画中、最も僕の記憶にあるものは冬枯れの躑躅を写せるものなり。但し記憶にある所以は不幸にも画の妙にあらず。躑躅だと説明される迄は牛だとばかり思っていた故なり。
恒藤は又論客なりき。――その前にもう一つ書きたき事は恒藤も詩を作れる事なり。当時僕等のクラスには詩人歌人少からず。「げに天才の心こそカメレオンにも似たりけれ」と歌えるものは当時の久米正雄なり。「教室の机によれば何となく怒鳴つて見たい心地するなり」と歌えるものは当時の菊池寛なり。当時の恒藤に数篇の詩あるも、亦怪しむを要せざるべし。その一篇に云う。
かみはつねにうゑにみてり
いのちのみをそのにまきて
みのれるときむさぼりくふ
かみのうゑのゆゑによりて
かみのみなをほめたたふや
はかなきみをむすべるもの
もう一度新たに書き出せば、恒藤は又論客なり。僕は爾来十余年、未だ天下に彼の如く恐るべき論客あるを知らず。若し他に一人を数うべしとせば、唯児島喜久雄君あるのみ。僕は現在恒藤と会うも、滅多に議論を上下せず。上下すれば負ける事をちゃんと心得ている故なり。されど一高にいた時分は、飯を食うにも、散歩をするにも、のべつ幕なしに議論をしたり。