Japanische Klassiker mit Furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lesen Sie 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.606 Zeichen · 97 Bildschirme
その彼は直情の性格から、同じ幕臣の勝安房守が、いわゆる恭順派の総師として、薩長の士と交渉することを、徳川家のために歯掻く思い、獅子身中の虫と感じ、いっそ暗殺して害をのぞこうと、日頃から画策していたのであったが、この夜いよいよ断行すべく、門下の壮士九人を率い勝安房守の後をつけ、剣を揮おうとしたのであった。
「どうだ、少しは解ったかな?」安房守は微笑した。
しかし八郎は黙っていた。
「ないない」と安房守は穏やかに云った。「勿論全部は解らないだろう。だがこの俺を殺すことの、理不尽だという事は解ったらしいな」
「はい、さようにございます」伊庭八郎は一礼した。「見損ないましてございます」
「世の中は近々平和になるよ。だが今後とも小ぜりあいはあろう。幕臣たる者は油断してはならない。八郎、お前、久能山へ行け! 函嶺の険を扼してくれ!」
「それは、何故でございますな?」
「二三日中に西郷と逢う。そうして俺は談判する。俺の言葉を入れればよし、もし不幸にして入れなかったら、幕府の軍艦を一手に集め、東海道の薩長軍を、海上から俺は殲滅して見せる。函根、久能山は大事な要害だ。敵に取られては面白くない。