Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「あれから小湊へ参りました」
白雲は、風呂へ入る以前の岡本兵部の娘の解釈はもう忘れてしまって、早くも話が小湊の浜まで飛んで行きました。
「小湊は、どうでした」
「あそこには長くおりましたよ、十日も逗留して、毎日、波ばかり描いていました。これがその波です」
といって白雲は行李の中から、また別の画帳一冊を取って、駒井の前に置くと、
「なるほど」
駒井はそれを受取ってひもといて見ると、一枚一枚にみな海の波です。
「小湊の浜辺は不思議なところで、あそこへ立ってながめていると、あらゆる水の変化を見ることができますな。水が生きている、ということを如実に見て取ることができます。水が生きている、という言葉は面白い言葉です、私が発明したのではありません、ある片田舎の子供が発明したのです。沼と、池と、水たまりのほかに知らなかった子供が一朝、海のそばへ連れて来られて、最初に絶叫したのがこれです、ああ水が生きてる! この破天荒の驚異、生きてるという一語は、われわれには容易に吐くことができません。しかし、小湊の浜へ立って見ると、はじめて水が生きている、生きて七情をほしいままに動かしているということを、確実に感受せずにはおられません。