Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

とにかく、捨てておくよりは、ひろって帰ったところで、誰も咎めるものはなかろう……と勘八はそれを大事に持って帰って、とりあえず月見寺へ立寄りました。

そうして般若の面をひろって来たと大声で披露すると、どこにいるのだか、暗いところから弁信の声で、

「勘八さん……般若の面をおひろいなさいましたか、それは結構でございます。般若とは六波羅蜜の最後の知恵と申すことで、この上もなく尊い言葉でございますそうですが、それが、どうして恐怖と嫉妬を現わす鬼女の面の名となりましたか、不思議な因縁でございます」

弁信が暗いところで、こんなことをいい出したものですから、勘八は気味が悪くなりました。実はさいぜんとても、面に現われた鬼女の妬相にゾッとするほどおそろしさを見せられていたのに、そこへまた弁信が、何かむずかしい因縁を説き出したものでありますから、勘八は無意識に気味が悪くなり、自分は黄金二枚で果報が充分だ、よけいな面を持って帰って、せっかくの果報が祟りに変っては災難だと思ったものですから、ではこの面はお寺へおさめてまいりましょうといって、そこに置いて、わが家へ帰ってしまいました。