Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

。わたしの身はどうなってもかまわない、人に苛まれようとも、蹂躙られようとも、かまわないと思召すなら、わたしを突き出してもようござんすけれど、あなたは、そんな惨酷なお方じゃなかろうと、わたしは安心していますのよ、ほんとうに、わたしという人は、どうしてこう意気地がないんでしょう、昔はこんなじゃなかったんですけれども、今はもう駄目なのよ、人に甘い言葉をかけられると、ツイその気になってしまうんですもの……誰かしっかりした人がついていてくれなければ、この上、どこまで落ちて行くか知れません。ごらんなさい、わたしの前にあるあの深い、怖ろしい穴を……」

いくらか精神の昂奮もおちついたと見えて、さいぜんのような聞苦しいことも言わず、しおらしく訴える言葉にも、情理があって痛わしい。そこで、駒井はやさしく、

「ともかく、お起きなさい――もう夕飯の時刻です、あちらで一緒に食べましょう」

「どうも済みません」

そこで女は快く起き上りました。

やがて、食堂としてある一間で、駒井と、金椎と、新来のお客と三人が、食卓にさし向っての会食が始まりました。女はしきりに金椎に話しかけてみましたけれども、利き目がないのを不思議がっていると、駒井が両耳に手を当てて、その聾であることを形にして見せました。