Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

また、お角さんとしても、何も相撲取が来たからって、驚くがものはないじゃないか、憚りながら、こちら様が先客なんだから、席を譲ってやる引け目なんぞは、ちっともありはしないのだから、泰然自若として、輪を吹いていましたが、何をいうにも小山のような奴等が、あたり近所いっぱいに立て込んでしまったものですから、お角一人はその中に陥没してしまって、形に於て、その存在を認められなくなったのは癪です。

自然、店の者たちも、お角さんの方を一向に閑却してしまったのも、悪意あってではありません。

お角さんとしても、そんなことを気にするような女ではないのですから、相撲の肉屏風の中に、ほほえみながら、相変らず煙草を輪に吹いてはいたけれども、前後左右に、煙草の煙の出場所さえないくらいですから、さっぱり器量が上らないようになるのが面白くないのです。

「息がつまりそうだねえ」

といって、どのみち、この奴等に場をふさがれたんでは、ここを出た方がましだ……どこか居所換えをして、待合わせることにでもしようか知らと、煙管をたばこ盆にバタバタとはたいた時、

「痛いねえ」

お角さんが、癇癪をピリリとさせたのは、いま立て直そうとする自分の爪先を、一人の相撲取のために、軽く踏みつけられたからです。