Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
「飛騨の高山には海が無い……その代り、思う存分駒に乗って、国内を飛ばせてみよう」
十八
曾て、仮りに高村卿と呼ばれていた英気溌剌たる貴公子があって、多少の同志の者を連れて随所を横行し、江戸の三田の四国町の薩摩屋敷の中へ乗込んで、若干の兵を貸せ、その兵をもって甲府を抑え、飛騨を取らんと申し入れて、さしもの豪傑連に舌を捲かせた上に、羅陵を舞って悠々と引上げたことを――その前後に、武蔵、相模の山中に、異様な物鳴りがあって、時ならぬ時、笛や太鼓の物の音が、里人や、猟師、杣人を驚かしつづけたことを。
現に兵馬も、その驚かされたうちの一人で、右の怪しい物音のために、猟師と共に武相の山谷に探検を試みたこともあったということを。
白骨谷へ集まった、お神楽師を標榜する連中が、その崩れでないとは保証ができない。彼等の中には、幕府を制するには甲府をおさえ、飛騨を取らねばならぬということに精細な研究を積み、今や、よりよりその実行にうつりつつあるが、実行にはかなりの大兵と、軍費とを要すること。それに行悩んでいるらしい形跡はたしかにある。
彼等一味の有志連が、挙ってかつぎ上げるところの盟主は、白面俊秀にして、英気溌剌たる貴公子であった。