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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

一方、がんりきの百は、しにもの狂いで小田原の町々、辻々を、かけめぐっているが、前に立ちふさがる者も、後ろから追う者も、どちらもその姿をありありと認めながら、どうしても簡単にはつかまらない。

百の駈足が、想像外にはやいのみならず、その身のこなしが、油のように滑っこく、ちょっとやそっと捉まえたのでは、ツルリツルリと抜けられてしまうのみならず、今は片手に脇差を抜いて振り廻しているのだから、せっかく追いつめたものも、立ちふさがったものも、キワどいところでいなしてしまう。

そこで、無人の境を行くようなあんばいで、唐人小路まで走って来た時分、この辺を突破されると、まもなく海辺へ出るのだが、海辺へ出られてしまっては事だ。

やはり、その時分のこと、例の講釈師南洋軒力水と、その弟子分になっている心水という二人が、江戸へ下るとてちょうど、この唐人小路へ来合わせたが、

「おやおや、がんりきがやって来たぜ」

「面白い、面白い、死物狂いでやって来た」

「奴、つかまるか知ら」

「なあに、あいつが、なまなかのことで、つかまるものか」

「でも、あぶないもんだ、一番、助け船を出してやろうか」