Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「よせよせ、打捨っておけ、けっこう、一人で逃げおおせる奴だよ」
この講釈師は申すまでもなく、南条力と、五十嵐甲子男の二人であり、長いこと、がんりきの百を手先として使用していながら、その危急を見て、面白がって見殺しにしているのは、頼もしくないこと夥しい話であるが、一方からいえば、がんりきの敏捷を信じきって、捕手の働きにタカをくくっているとも見える。
そうして、その死物狂いの逃げっぷりを面白がって、足をとどめてながめているが、ながめられるがんりきの方は、たしかに冗談事ではなく、大童で、眼は血走って、脇差を振り廻しながら、唐人小路を走る時には、人の悪い南条と、五十嵐との姿は、いつか見えなくなってしまう。
その時分、唐人小路の辻番のところに立って、往来をながめていた山崎譲が、
「やって来たな、がんりきめ、丸くなってやって来やがった」
これも、面白がって、命がけで逃げて来るがんりきの行先を、縦からながめて、しきりに笑止がっていました。
絶体絶命のがんりきは、そんなどころではない。逃げるには逃げるが、せっかく、ここまで来て、海へ方角を取ることを忘れてしまったらしい。