Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
だが、与八としても、気が利かないことの限りで、こうして、先方が油断している隙に飛びかかって、その大力でもって相手を組み伏せるとか、縄をたぐって引き寄せて、自分で安全圏を作っておくとかの余地は十分にありそうなものを、相手に首を巻かれっぱなしで、その死命を制せられっぱなしで、自分の活地を作ろうと、努力するだけの機転の利かないのが、この男の取柄かも知れない。
「それじゃ、若い衆さん」
と七兵衛は、ほぼ、あたりの形勢にも見当がついたらしく、
「私は、これでお暇をするからね、この川を飛び渡って柚木の方へ出るつもりだから、私がかなり逃げのびたと思う時分まで、お前、騒いじゃいけないよ、泥棒! なんて大きな声を出すと承知しねえぞ」
「大丈夫だよ」
「犬はいねえようだな、あの厄介な犬は、跡をついて来ちゃあいねえようだな」
「大丈夫だよ、ムクは、逃げる者を、そんなに長追いをするような犬じゃありませんよ、それよりか、家を守っている方が大切ですからね」
「それで安心した」
七兵衛ほどのものが、特に、その犬には弱らされたものらしい。
そこで、七兵衛は、手にしていた縄の一端をクルクルとまとめて、環にしてポンと与八の前へ抛り出して、