Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうも、窮命をさせて済まなかった、済まないついでに若い衆さん、お湯をいっぱいおくんなさい」

「さあ、どうぞ、ここにお椀がありますから、なんなら、いいお茶もあるだから、お茶をいっぱいいれて上げましょうか」

「そいつは、どうも御馳走さま」

与八は、せっかく解放された縄をまだ自分の首から放さないで、それよりも先に、この珍客に向ってお茶の用意にとりかかると、この時、七兵衛が炉辺で意外な物を見つけて、じっとそれに眼をつけました。

二十五

七兵衛が何事をか注意し出したのに頓着のない与八は、珍客のために、お茶壺から上茶を取り出して、お茶をいれにかかっていると、七兵衛が、

「若い衆さん」

と呼びましたものですから、鉄瓶の湯を急須に注ぎながら、

「何ですか」

「そ、そりゃ何だね」

「え、それとは」

与八は、鉄瓶の湯を急須に注いでしまってから、七兵衛のそれといって指したところのものを見やると、

「あ、これですか」

「何だい、そりゃ」

「こりゃ、絵馬の額ですよ」

「絵馬には違いないが、お前さん、その絵馬をどこから持っておいでなすった」

「これですか、イヤな絵馬ですよ。お茶を一つお上りなさいまし」