Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
てしまった腑甲斐なさを自ら憐れみ、悼み、くやみ、あせり、憤るの情に堪えません。
そうして、彼は街道筋へ出たけれども、さて次へ進んでいいのか、後へ戻っていいのか、その事さえわかりません。次の須原駅までは三里五町、あとへ戻って上松までは僅かに十町という観念があってしたのではないが、米友は本能的にあと戻りをしました。それはつまり、臨川寺から現場までは岩石の間を宙を飛んで歩いたが、街道筋は残している。そこに多少の心残りがあったのでしょう。
「先生、道庵先生!」
彼は相変らず、声高く叫んで飛び走りましたが、徒らに、通る人の驚動と、指笑とを買うに過ぎません。
ここに於て、米友は確かに血眼になっている。血眼にはなってはいるけれども、狼狽ということはないのです。その証拠には、例の唯一の武器たる杖槍も、ちゃんと肩にかついでいるし、携帯の荷物も、懐中に入れた精製の熊胆も、決して取落してはいないのです。
「どうも仕方がねえ、運の悪い時には悪いもので、物が行違いになる時には、行違いになるものだ、おいら一人がやきもきしたって、助かるものは助かる、助からねえものは助からねえんだ」