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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

それは人命です。人間の生命の行方のわからないのが、この火事を機会としていくつも起って、それがまだ解決しきれないのです。

というのは、一つには伊太夫の後妻、お勝の行方がわかりません。そのお勝の腹に生ませた伊太夫の独り子、三郎の行方がわかりません。それと、この屋敷での暴女王、お銀様の姿が見えません――それともう一つ、このごろ厄介になっている不思議な勘のいい、おしゃべり坊主の行方も皆目知れないのであります。少なくともその四個の生命が、この火事を機会として、踪跡をくらましてしまいました。

馬一頭も、犬一匹も、鶏の一羽も、生けるものの生命としては損傷もないのに、この重大な四つの人間の行方がわからないのは、これは火事以上の非常事でした。

家は惜しいとは言いながら、藤原家の富を以てすれば、これに十倍するの新築をなすことは何でもない――ただ人命に至っては、そのいとちいさきものといえども、人間の手で如何ともすることはできない。

今まで帰らない以上は、心あたりの避難所という避難所をみんなさがしたが、みな手を空しうして帰って来た以上は、どうしても、その四個の生命が、この大火の下に埋められている、というこの上もなき不祥を想像せざる者はない。