Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「女殺し」と言ったのは、ただなんとなく、濃烈なる甘い悩みの圧迫に堪えられなかったうめきの声に過ぎまい。
十八
北原と、村田とが相携えて、それからいくらもたたない時間の後、お雪ちゃんの部屋をたずねて、
「ごめんください」
障子の外から、言葉をかけた時に、
「はい、どなた」
それはお雪の返事には違いないけれども、非常に狼狽したような返答ぶりでありました。
「私です」
北原は静かに、外から名乗ると、
「あら北原さん――どうぞ」
とは言ったけれど、その狼狽ぶりは、障子一重の外で鮮かに手に取るほどなのが、来客の心を少しく不審がらせました。
よし、自分たちが不意に押しかけて来たからとて、そんなに狼狽しなくてもよかりそうなものを、ことに、ちゃんと前ぶれもしてあるようなもの。
そこで、お雪は何か、あわてて身の廻りを始末するような物音を立ててから、
「どうぞ」
「お忙がしいんじゃないですか」
あんまり、中があわただしい気配だものですから、北原も遠慮してみると、
「いいえ、かまいませんのです、どうぞ」
「失礼してもよろしうございますか」
「どうぞ」
障子があけられて見ると、お雪ちゃんが少しポッと赤くなって、そのあたりには、縫物だの、書き物だのが取散らしてあったので、それでは、その取散らかしを気兼ねをして狼狽したのだろうと思われ