Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
それに、身なりも、病人とは思えないほどにキチンとしているし、髪も手入れが届いている――
そう思って見ると、こちらのお雪ちゃんの取乱した書き物、縫物のほかに、屏風の外へ急に突きやったらしい、櫛箱、耳盥、そんなようなものが眼に触れると、北原はなんだか、ここで今まで、おとわ稲川もどきの世話場が、演ぜられていたような気配も想像されないではありません。
なんとなく、空気が尋常でありませんものですから、さすがの北原も、どちらへどう御挨拶をはじめていいかわからないで、暫くは二つの間へ等分に眼をくれながら、
「村田君を誘って、二人で押しかけて参りました」
「ほんとうによくおいで下さいました、約束をお忘れなく」
この時分、お雪ちゃんもようやく本心に返りかけたらしく、
「さあ、どうぞ、こちらへ」
改まって北原と、村田を案内して、
「お炬燵へいらっしゃいましな、今、お火をいただいて来たばかりですから、その方がよろしうございます」
「そうですか、あの、お雪ちゃん、お邪魔をしていても、御病人におさわりはございませんか」
「え、かまいませんとも」
「御挨拶を申し上げたいと思いますが……」