Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
ていたお雪がハラハラしたのは、実は自分さえ、今まで大和国十津川というところまでは聞かないでいるからなのです。
どこぞで負傷をしたたたりということは、今迄もきいていたけれど、それをくわしく問うのもなんだか立入りがましいようであり、また、その過ぎ去った原因を洗い立てするのは、この人の古い傷に痛みを感じさせるように思われたから、お雪ちゃんとしては、それに触れたくなかったからです。それをこの場では、問われもしないにすらすらと大和国十津川まで名乗ってしまったものだから、お雪がハラハラするのも無理はありません。
何事をも包みたがるというわけではないが、包んで置いて上げた方がいいと信じて、これまでかしずいて来たのに、案外にも初対面の人に心置きのないこの始末ですから、全く今日は天気のせいではないかと思いました。
でも、相手が北原さんでよかった、先日やって来た、あの手のこわくて冷たい無気味のさむらいのようなのに向って、こう心安立てに話し出されては、全くやりきれない、それでも北原さんでよかったと、お雪は傍から、やっと胸を撫で下ろしていると、その頼みきった北原が、案外に気色ばんできました。