Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
三十二
こうして、スフィンクスのプランと、工事の進行とを、遮二無二おしかたづけてしまったお銀様は、次に何を為す?
先日の火事に、藤原の家の焼け残ったもののすべてのうちに、文庫がある。
この文庫に没頭したお銀様が、更に記録の上から調べ物にかかりました。
何を調べる?
多分、近き将来に竣工すべき、この悪女塚のための施主として、その塚に祭るべき悪女の因縁と、経歴との考証に取りかかっているのでしょう。悪女塚の亡霊の主を、書巻の間から求めようとしているのでしょう。
まあ、見ていてごらんなさい、あの通り六寸に切った塔婆形の小木片に向って、いちいち、その書巻の間から探し出した亡霊の主の名前を、書きとめているではありませんか。
また、その一枚一枚を書くごとに現われる、あの面の色――というよりは、覆面の下から浮び出でるところのあの箇々の表情をごらんなさい、一種の痛快なる反抗に、筆のおののくのを感じませんか。たまらないほどの肉感的昂奮のために、眼の色が燃え立つのを認められませんか。
こうして、お銀様の周囲には、あらゆる参考書と、それから選び出され、或いはそれを聯想して浮び出でた人名が、筆に伝わって、六寸の小木片の上に走ります――